早稲田こどもフィールドサイエンス教室がめざすもの
子どもたちが自然に親しみ、自然に驚き、感動するという体験をもつことは、子どもたちの成長にとってどのような意義があるのでしょうか。
この教室で、「クモ」をテーマにした活動を行ったことがあります。活動を通じて、しだいに子どもたちはクモの生き方を理解していきます。生きているのは人間だけではなく、クモはクモとして、自然界の中で役割をもっていることを知っていきます。相手の生き方が理解できるようになってくると、その理解は敬意に変わります。「なんてすごい知恵を持っているのだ」という対象への敬意や畏敬の念は、 人間だけが偉いのではない、という「慎ましさ」を感じるきっかけになっていくのです。
また、クモの巣を実際にみて、「何てすばらしいんだ」とその美しさに感嘆します。
一般的にあまりいい印象を持たれないクモですが、活動を通じて、子どもたちはいつの間にかクモに対する「偏見」がなくなり、これまで見えなかったものが見えてくるようになります。
このことは、 そのまま私たち人間の世界にも当てはまるのだと私は考えています。私たちは環境や多くの人、そして自然によって生かされ成り立っています。それが見えてきたとき、社会や、仲間、そして自然への感謝になっていくのです。
これが「やさしさ」です。したがって、「やさしさ」とは「感謝」と同義であるのです。自然にかかわり、自然に親しむことによって子どもたちは「やさしさ」を感じ取ることができるのです。驚き、不思議さを感じること、感動すること、このような子どもたちのワクワクするような「ときめき」によって、子どもたちは確かに育ちます。
私は「早稲田こどもフィールドサイエンス教室」の活動を通じて、そうした子どものしなやかな成長を祈っています。