
そろそろ各地から雪の便りがやってきました。
今年は新しい雪の教材を考えてみようと、少しずつ構想を始めています。
さて、雪といえば中谷宇吉郎。
少し前に驚いたことがありました。科学を伝える活動者のつながりのことです。
私が立ち上げを手伝った高知の科学館の建物の前には寺田寅彦の像があります。
「ねえ、君、不思議だと思いませんか?」と語りかけています。
寺田寅彦は明治生まれの物理学者ですが、夏目漱石と同じ時代に生き、多くの一般向けの書籍を書いた文筆家でもあります。
高知で生まれたこともあり、同じ高知県で生まれた私は、
小学生の頃に社会科見学で彼の生家を見学した記憶があります。その弟子が中谷宇吉郎です。
雪の結晶の成り立ちを研究していた物理学者であるだけでなく、寅彦と同じく文筆家でもありました。
「雪は天からの手紙」という言葉を聞いたことはないでしょうか。
科学の啓蒙者として、この二人は欠かすことはできません。
私が学生の頃、この二人の書籍を繰り返し読んでいました。
それから十年以上経ち、私が日本科学未来館で働いていた頃の話です。
同僚には芸術畑から集い、未来館での先端科学の展示制作とともに、
美術館で作品のセットアップをしているスタッフもたくさんいました。
その中に、霧を使った作品の制作を長年手伝っている方がいました。
私もその昔、霧は儚く美しいだけでなく、
生まれては消える自然の空間的ディスプレイとして映像を投影するのに便利なので、
いろいろとリサーチしていました。霧で巨大な作品を作っている作家がいることは、
その頃から知っていました。その作品を同僚が手伝っていたのか! とその時は本当に驚きました。
さらに驚くことに、今もその作家は90歳を超えてなお国内外で作品を作り続けています。
作家の名前は中谷芙二子さん。まさか、と思って調べました。なんと中谷宇吉郎の「娘」だそうです。
雪から霧へ。物理学者として雪をつくる父親の側で、
幼い頃の彼女はどのような世界をふくらませていたのでしょうか。
そして今なお作品を作り続けるその目には、何が映っているのでしょう。
今も彼女は研究者とともに美しい作品をつくり、世界中に届けています。
そしてきっとまた、それを見た人が豊かな自然表現を生み出すのでしょう。
みなさんも一度、作品を探して触れてみてくださいね。
あと、父親の「雪の科学館」が石川県にあります。今は能登半島地震の影響で休館中のようですが、
再開したらそちらも訪ねてみましょう!
