活動内容

2012年度の活動レポート

2012年度は、磯、川、沼、丘陵、干潟、山、湿原など、多くのフィールドで活動を行いました。子どもたちは見て、感じて、つかまえて、考えて、自然との出会いを大いに楽しんでいました。その様子の一部をここでご紹介します。

プレップクラス

小さな水族館を見る

三浦半島の先端の磯は地元の漁師さん以外は訪れない場所です。ここには、ほとんど手つかずの自然、「小さな水族館」がありました。みんな夢中になって生き物をさがし、見つけたものを全員でしっかりと観察しました。この日は保護者の方の参観日だったので、子どもたちと一緒に、何度も歓声をあげていました。天気にも恵まれ、おとなも子どもも、とても楽しい一日でした。

磯 小さな水族館を見る
網でつかまえる

埼玉県蓮田市にある黒浜沼の、沼につながる狭い水路にはおどろくほどたくさんの生き物がいました。水から網を引き上げるときは、どきどきします。四つ手網の底が水面近くに見え始めると、光って動くものがたくさんいます。サカナが網の中で跳ねています。「いた、いた、いた!」、サカナを捕ることがこんなにもおもしろいなんて、初めての経験でした。捕れたサカナやエビは水槽に入れて観察し、その後、沼に戻しました。

サカナ 網でつかまえる
自然の宝ものを感じる

神奈川県にある相模川の川原で石を集めました。遠くから見ると石はみんな同じように見えますが、一つひとつ見てみると、色、形、大きさ、さわった感じ、みんなちがうことがわかります。自分が気に入った石を集め、みんなのものとくらべました。川原にある石は、どこから来るのか? そもそも石ってどんなものなのか? ちょっと難しいですが、そうしたことについても、みんなで考えました。持ち帰った石は、とても重かったです。

石 自然の宝ものを感じる
さまざまなふしぎを知る

埼玉県の比企丘陵でタネさがしをしました。当日は外で活動するには絶好の、秋晴れのすばらしい天気に恵まれました。緑の多い丘陵地をゆっくりと歩きながら、目についた植物のタネを集めていきます。「えっ、これがタネ?」というものが、たくさんありました。集めたタネを「くっつくタネ」「風で飛ぶタネ」「食べられるタネ」などになかま分けして、それを標本にして持ち帰りました。

タネ さまざまなふしぎを知る

プライマリークラス / ミドルクラス / アドバンスクラス

干潟でたくさんの生き物に出会う

三浦半島の先端にある「江奈干潟」では、見ていると、海の水が引いていき、見る間に干潟が現れてきます。海の水があんなに早く動くなんて初めて見た経験でした。そして干潟にはびっくりするくらい、たくさんのカニがいました。貝も見つけました。近くに磯があって、そこのカニも捕まえました。くらべて見ると、干潟と磯など、住む場所でカニの種類がちがうことがわかりました。

カニ 干潟でたくさんの生き物に出会う
海を支える小さないのちに出会う

三浦半島の磯で特別な網を使ってプランクトンを採りました。水を見てもプランクトンは見えません。でも網で水を集め、ルーペで見ると、いました!やっと見えるくらいの小さな動くものがいます。動き方がおもしろいです。プランクトンです。顕微鏡でもっと拡大して、プランクトンを観察しました。こういうものが海の中にたくさんいるのです。そして、プランクトンがいないとサカナが生きていけないことも知りました。

プランクトン 海を支える小さないのちに出会う
日本の国蝶に出会う

静岡県駿東郡の小山町でチョウの採集と観察をしました。目指すは「オオムラサキ」、日本の国蝶です。大きくて、力強く飛ぶチョウで、オスは色がとてもきれいです。オオムラサキは樹液を吸います。コナラの木を1 本、1 本、見て回り、オオムラサキをさがしました。オオムラサキが見つからない日もありました。用意されたわけでない自然にがっかりすることも自然への学びです。他のチョウや昆虫も捕り、きちんと観察しました。

チョウ 日本の国蝶に出会う
生き物を食べる植物に出会う

東京の近くでも自生する食虫植物を見ることができます。この実習では東金に行きました。食虫植物は、イメージよりもとても小さな植物です。東金では、「コモウセンゴケ」「ナガバノイシモチソウ」「ミミカキグサ」「タヌキモ」を見ました。ナガバノイシモチソウに小さな虫が実際に絡め取られている様子を観察できました。なぜ虫を食べるのか? その理由を考えることがこのテーマの目的です。

食虫植物 生き物を食べる植物に出会う
伊豆半島のヒミツに出会う

伊豆半島は大昔、火山の島であって、それが何十万年もかけて南の方から日本に近づき、やがて本州に衝突して今の姿になりました。話としてではなく、それを事実として子どもたちに理解してもらうには、色々な工夫が必要です。模型を作ってそれを動かしてみたり、子どもたちにジオラマを作ってもらったり、石を探したり、山の上から眺めたり、いろいろな方法で大地と子どもたちとの出会いを作りました。

動く大地 伊豆半島のヒミツに出会う
2万8千年前の地層に出会う

夏にオオムラサキをさがした場所の近くに、2 万8 千年前の火山灰が地層として観察できる場所があります。その火山灰は鹿児島県から風に運ばれてきたものでした。鹿児島県から実習地の静岡県小山町までは約1000 ㎞あります。そこを飛んできたのです。興味がわきます。火山灰を水でよく洗ってから顕微鏡で見ると、そこにはキラキラと光る無数のガラスに似たものが見えました。これが、「姶良(あいら)丹沢火山灰」です。火山灰って、きれいなんです。

火山灰 2万8千年前の地層に出会う