華麗なる4色オーロラ(田中先生1月分)

この写真は、2025年12月下旬、スウェーデン北部ヨックモック郡にある「ポルユス駅」でとらえられたオーロラの姿です。ポルユス駅は「世界一オーロラがよく見える駅」とも呼ばれています。冬季は臨時列車以外の発着がないため、雪に覆われたプラットホームや線路そのものが、格好の観望台になります。私は日本やスウェーデンの仲間と2004年8月から、日本にいながら北極圏の空を観測できるよう、インターネットを通じた遠隔観測・生中継を続けてきました。この写真も、その長年の取り組みの中で記録された一枚です。

 一口に「オーロラ」といっても、その姿は実に多様です。カーテンのように揺らめく「バンド・オーロラ」、虹のような弧を描く「アーク・オーロラ」、天頂付近に放射状に広がる「放射状オーロラ」、形状をほとんど変えずに明滅だけを繰り返す「脈動オーロラ」など、空を見上げるたびに異なる表情を見せてくれます。

 色のちがいも、オーロラの大きな魅力です。太陽から飛来した荷電粒子が、上空の酸素や窒素の原子・分子を励起することで光が放たれますが、その種類や高度、エネルギーの強さによって色が変わります。最もよく見られるのは緑色で、「オーロラといえば緑」という印象は、ヒトの眼の感度を考えても、科学的に正しいものです。条件がそろうと、赤、青、紫、黄、白、そして桃色などが加わります。特に桃色はエネルギーが非常に強いときに現れ、バンド・オーロラの下端を縁取るように現れ、肉眼では激しく波打つように見えるのが特徴です。

 この夜に現れたのは、「緑・黄・白・桃色」の4色が同時に重なった、珍しいオーロラでした。3色の組み合わせは比較的よく見られますが、4色がはっきり確認できる機会は多くありません。氷点下40℃にもなる、極北の静かな駅の上空で、自然が見せてくれた壮麗な光のショー、それが、この「華麗なる4色オーロラ」なのです。空を見上げ「なぜ宙が光るのかを」という問いを持つことは、科学への第一歩になるのかもしれません。