保護者の声

(保護者インタビュー)教室で知ったフィールドの魅力、家族ぐるみで楽しんでいます

自然の中で学ぶ体験を子どもたちはどのように受け止め、家族の方はどう見守っているのでしょうか。年長のときから3年間にわたり、教室の活動に参加している男の子のお母さんに、お話を伺いました。

ーこの教室に入会されたのはどうしてでしょうか?
新聞の折り込み広告を見て体験教室に参加させましたら、「お年玉をおろしてもいいからやりたい!」と言うものですから(笑)。
ー実際のフィールドワークはいかがでしたか?
年長の1回目のフィールドワークが「磯の生き物観察」で、楽しかったと言っていました。でも、もっと長い時間いたかったと心残りがあるようだったので、あとで父親が同じところに連れて行ったんです。そうしたらその場所が親子で気に入ってしまって、次に行った里山(横沢入)にも、また家族で出かけていきました。週末になると家族でフィールドサイエンスの実習地に行くのが習慣のようになって、横沢入にはもう20回以上行っています。
ー20回以上とはすごいですね。
親が連れて行くだけでは観る場所も限られるのですが、子どもが観察ポイントを教えてくれるので、何回行っても楽しいです。都会に住んでいるのに自然が好きな子なので、教室の活動はありがたいと思います。
ーお子さんは、教室での活動のことを家でもよく話されるのですか。
最初は小さかったので、また行きたいと言う程度でしたが、この頃は詳しいことまでよく話してくれます。話だけでなく、実習したことを家でもう一度やってみることも多いですね。1年生のときのフィールドワークで貝の標本づくりをしましたが、そのあと別の海岸に行った時も、貝を拾って、自力で名前を調べて、標本にしていました。
ーこれからの教室活動に、何を期待されますか。
うちの子は夢中になるものがあると集中力を発揮するので、将来その力を生かしていってくれればと思っています。今は生き物が大好きですから、教室でさまざまな体験をして、興味を育ててほしいと思います。
“ 海にタコがいるって本当だった!”

学ぼうとして学んでいるわけではない。でも自然の中には学ぶ対象がたくさんある。それを子どもたちは気づかせてくれる。早稲田こどもフィールドサイエンス教室の体験から「こぼれ出してくる」子どもたちの声や、お母さんたちの率直な感想をうかがいました。

青沼さん、土本さん、舟根さん、永井さん、佐藤さん、露木先生

青沼 うちは小学2 年の男の子です。親離れさせたくて、本人に聞きもせずフィールドサイエンス教室に放り込みました。初日に、バスに乗ったとたんお腹が痛くてトイレに行きたいと言いだしたそうです。不安だったせいでしょう。でもそれは最初だけでした。子どもに「楽しい?」と聞くと、「うん!楽しい、来年も行きたい」と言ってるので来年も宜しくお願いします。

舟根 我が家は、4 年生の女の子と2年生の男の子の二人を通わせています。子どもを自然に連れて行く時間も、自然との接し方を教えられる知識もないので、是非入れたいと思いました。下の子は食虫植物、上の子は天体観測がお気に入りで、天体観測は冬だけでなく、夏もやりたいと話しています。

子ども同士の「いざこざ」を否定的に捉えない、
子どもの成長の絶好の機会です

秋葉 小学2 年の男の子が、1 年生のときから参加しています。両親とも忙しくて、なかなか子どもを遠くまで連れて行けず、渡りに船と申込みました。知識を得るのも大切だと思いますが、低学年のうちは親のいないところで親以外のいろいろな人と関わり、協力し、何かに取り組んだりする経験がより大切だと思います。この夏に参加した尾瀬での泊りがけのプログラムでは、こうした密な他者との関わり合いができ、子どももとても楽しかったようです。今後も、泊りがけのプログラムに是非参加させたいと思います。

露木 多くの人との関わりは子どもにって大切です。そうしたなかで起こる子ども同士の「いざこざ」は、「けんかしてはいけない」と否定すべきことではなく、子どもの成長の絶好の機会なんですね。知らない子と泊りに行って大丈夫かな、と思われるかもしれませんが、子どもは友だち作りの天才ですから、心配しないでください。

永井 小学3 年の男の子で、今年3 年目になりました。親が育った環境と違い、今の子は親が努力しないと自然と関わることが難しくなっている。それがかわいそうで参加を決めました。教室では、よくスケッチや絵を描きますが、だんだん絵が上手になってきました。いろんな図鑑をじっくりと見比べ、色使いにこだわりながら描くようになって、本当にありがたいことだと思っています。

佐藤 小学5 年の男の子です。家の周りはあまり自然のない環境ですが、その中でも子どもはザリガニを捕ったり、アゲハの産卵場所を見つけたり、周囲の小さな自然を自分なりに楽しんでいました。それで親も本格的によりよい機会を与えたいと思い、いろいろ検討しました。実験教室や科学教室はたくさんあるのですが、お勉強の要素が強く、子どもの「自然を愛する」気持ちに寄り添っていただけるところをと思い、この教室に決めました。

露木 保護者の方が忙しくて、子どもと遊ぶ時間が取れない。私も、30代、40 代は仕事一筋で、子どもと一緒の時間をほとんどとれなかった。今思えばもったいないことをした、もっと子どもと遊びたかったと思いますね。教室でも、預けっぱなしでなく、親ごさんもぜひ子どもたちと一緒に参加してみてください。

土本 うちも4 年の男の子ですが、親が知らない、連れて行ってやれない「自然の穴場」のようなところに連れて行ってもらえるのがありがたいです。保護者参観に参加しましたが、想像していたよりワイルドでした(笑)。プランクトンをすくっていた時、海にタコが現れて、タコに誘われてポチャンと落ちてずぶ濡れになる子がいたり。学校と違うのは「やらされる」のではなく「子ども自ら活動する」ようにしてくださる点。だから子どもたちがすごく楽しそうでした。採集したプランクトンを本格的な顕微鏡で観察したんですが、遠慮なくどんどん使わせていて、私のほうが「そんな乱暴にしたら壊れちゃう」とハラハラしました。家でも「あれをやって楽しかった」「先生とこんな話をしたんだ」と話が尽きません。

たった一日限りの経験が、その人の人生を変えてしまうことがある

佐藤 タコを追って落ちたのはうちの息子です(笑)。

永井 うちの子も落ちて、持って行った着替えまで濡らしてきました。

土本 「海にタコがいるって本当だった」と言っていました。タコはごはんでは食べるけど、実際にどんな生き物なのか知らなかった。本当に柔らかいんだとか、こんなふうに泳いでいるんだよとか、自分の体験を説明できる機会ってなかなかないので、通わせて本当に正解だったと思っています。

佐藤 私も保護者参観に参加しました。フィールドでは、子どもたちをいろんなところにズブズブ行かせて自由にさせていますね。先生方は、何かあっても子どもにガミガミ怒るのではなく、ワッハッハと包みこむような対応をしてくださっていました。

露木 たった一日限りの経験がその人の人生を変えてしまうことがあります。子どもの時に経験する「自然との出会い」はとても大事で、おとなはそこでほんの少しだけ後押ししてあげるのがいい。子どもの学びのプロセスを知る人が自然のなかに一緒に入っていく、そういうチャンスを子どもたちにたくさん作ってやりたいですね。

永井 自分で何か気づいて拾った石は、特別な宝物で「ザラザラの石」とか「黒いのが交じっている」とか「キラキラした石」とか、小さな違いをひとつひとつ大事にしています。

露木 子どもの頃の「集める」という行動はとても重要です。集めたものを分ける、つまり「分類」のためには、よく物事を観察しなければなりません。これとこれはここが違うと認識する力は、高度な脳の働きです。

おとなは正しくないことを訂正したくなる、
子どもの観察した結果を否定してしまう、少し反省しています

永井 年度ごとにテーマが半分くらい変わるのですが、同じテーマに参加しても、春と夏で活動している生き物も全然違うし、年齢で気づくことも違うので、子どもはそれぞれ楽しんでいるようです。
そういえば、フィールドで子どもが指を切ってしまいました。先生に処置していただき「念のため病院に連れて行ってください」とおっしゃたので、一応病院に行ったところ、処置がいいので縫う必要はないと言われました。とにかく先生の適切な処置を見ていて安心して預けられると思いました。

青沼 以前は家族でキャンプに行っても、親が自然に詳しくないし、子どもの興味を前に進ませてやれなかったのですが、今は動植物をじっと観察したり触ったりするようになり、変わってきたなと感じます。最近は親離れもしているので、教室で良い経験をしてきているのだろうなと思っています。自宅課題の「月の観察」でも、「なぜお月様は大きくなったり小さくなったりするのか」という疑問を初めて持ってくれました。そういうとき、観察し、自分で考えていこうとしているように思います。

土本 「月の観察」で子どもの話を聞いていて、ふと「月は何個あるか知ってる?」と聞いてみると、「1、2、3」と数えだしたんです。うちの子は「月は一つでなく、毎日、違う月が出ている」と思っていたんです。あわてて月は一つだと説明をしたのですが、今日お話を伺っていて、今は月はたくさんあっても、いつか自分で月は一つだと気づくだろう、ぐらいでいいのかなと思いました。おとなは、正しくないことを訂正したくなりますよね。マニュアルや参考書をもとに、子どもの観察した結果を否定してしまうことがありますが、少し反省しています。

露木 子どもの時には子どもの時の論理があります。突然科学的な説明をしても、子どもは受け取る器ができていません。子どもの発達に合わせて、いろんな取り組みをしていくなかで、自分で問いを持ったり、「おやっ?」と思ったりすることがとても大事です。正解という「知識」はそのあとでいいのだと思います。
子どもにとって、自然の中に入って、自然と関わっていくことがいかに大切であるかを私はずっと感じてきました。最初は自然が好きじゃない子も、適切な方法で自然を体験することで、「知りたい気持ち」「知って楽しい気持ち」がでてきます。体験と知識が一体になったとき、自分が今まで知らずにいた、感じなかったものが見えてきて、新しい世界が広がっていく、そういう楽しさを子どもたちに感じてもらいたいと思っています。

事務局 みなさまのご意見をうかがって、教室が自信を持って続けていくべき点、改善しなくてはならない点が、明確になった気がします。ありがとうございました。